本日 2 人 - 昨日 26 人 - 累計 37833 人 サイトマップ

5月

2015年05月09日
4月25日から26日にかけ、『こども環境学会』に参加した。
ぼくは分科会のコーディネーター兼発表者として出席した。
分科会のテーマは、「子どものあそび場とその充実」。
ぼく以外の発表者は、
宮城県石巻市を中心に活動する『NPO法人コドモ・ワカモノまちing』の、カービーこと星野諭氏、
岩手県釜石を中心に活動する『三陸ひとつなぎ自然学校』の黍原(きびはら)豊氏、
福島県福島市の温泉で有名な『NPO法人いいざかサポーターズクラブ』の、コッペこと佐藤耕平氏。
コッペは地元の人だが、僕を含むほかの3人は、震災後に他の地域から支援に入ったメンバーだ。

コッペは、飯坂の実情を率直に話してくれた。
福島の子どもに肥満が目立つという現状に、「被曝を恐れて外遊びをしない」からといわれるが、
原発の事故以前から子どもは外では遊んでいなかったこと、お菓子の購入が全国4位ということ、
こうした状況だったことに目を向ける必要がある、と。
低線量の被曝の影響などわからないことも多いけれど、それでも少しでも外で遊べる環境を整えたい、
遊ぶ環境さえ整えば、子どもは外で遊ぶと実感していると話した。

もちろん、外遊びを推奨する以上、被曝の問題は避けては通れない。
福島県は、県を挙げて外遊びの推奨をしており、そのモデル事業を定めて復興予算を当てている。
飯坂の取り組みもその事業に採択されており、ぼく自身もアドバイザーを勤めている。
アドバイザーを引き受けるにあたり県に条件として出したのが、県としての線量測定とその公表だった。
外遊びを親がどう判断するか、その材料を提示するための公表だ。
例えば外遊びをさせるかさせないかという2者対立の考えではなく、1日2時間までという考えもある。
そうした材料に、この線量計測と公表は欠かせない。

被曝の問題は、解明されていないことも多く、専門家の間でさえ意見が割れている。
僕たちは、実は太陽光線など日常的に被曝している。
しかし、自然界にある放射線とは付き合いが長く、ヒトに限らず生命体は一定の対応力を備えている。
問題なのは、原発などから作られる、自然界にはもはやほとんど存在しない人工の放射線にある。
これに対する耐性がどのくらいあるものなのか、それが分らないのだ。

もちろん、わずかであっても被曝は避けたほうがいい、それは事実だろう。
けれど、外遊びの持つ、子どもの発達に与える根本的な影響を知る僕は、
だから「外遊びをさせない」という判断には、重大な問題が残されるといわざるを得ない。
子どもが遊ぶという行為は、勉強と並んで語られることが多いが、そんなものではない。
むしろ食事と並ぶもので、食べなければ体が死んでしまうように、遊ばなければ心が死んでしまう。
ことに、外遊びはその中核を担うもので、僕は子どもの施策は屋外を中心にする必要があると考える。
外遊びができないという現実は、それ自体どういう問題を生み出すのか、僕は戦々恐々としている。
被曝の問題も外遊びができない問題も、かつて経験のない空前の現実だ。
誤解を恐れずにいえば、壮大な人体実験の真っ只中としか言いようがない。
今こそ恐れずに目をむけ、考え行動する勇気を大人は持たなければならない。
子どもの環境、その中で最大のものは、実は大人だからだ。