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4月

2016年04月07日
もう一か月半ほど前になるが、久々に気仙沼にあるシャンティの事務所に行った。
シャンティも、いよいよこの3月で現地事務所を引き上げることになったと知り、
そこの責任者の白鳥さんと、これも本当に久しぶりにゆっくりと話してきた。

「シャンティ国際ボランティア会」は、開発途上国の生活自立支援を中心に行っている国際NGOで、
普段は国内のことには手を出していない。それが阪神淡路大震災後、
この災害を放ったまま海外事業だけを続けたら国内の支持者が納得してくれなくなる、との思いから、
初めて国内の支援活動を決めた。

一方、ぼくたちプレーパークでは、現場で子どもがこうつぶやいたのを聞きとがめたひとりのプレーワーカーがいた。
「地震のテレビばかりで(アニメもバラエティーもなくなって)つまらない」。
この災害はゲームではない、どうやったらそのことをこの子たちに伝えられるだろうか。
緊急でプレーワーカーが集まり、子どもに自分たちが実感したことを伝えよう、と支援を決めた。

両団体とも違う理由で支援を決めたが、双方に課題があった。
シャンティは、災害時などの復興支援にはたけているが、特に子どもを対象とした事業を行いたいと思ってはいたものの、
海外のことばかり行っていたので国内のことがよくわからない。
プレーパークは、遊びを通じた心のケアこそどこよりできるものの、被災地支援の経験が全くなく、
そのまま行ったら被災者を増やすだけになってしまう恐れがあった。
ぼくの友人がシャンティにいたことで情報交換を行い、
互いに利となるということで、一緒に被災地支援活動に取り組むことにしたのだった。
今回も同様の理由で、シャンティがつくった現地事務所に滞在しながらの支援活動を行った。

白鳥さんは、阪神淡路大震災の時は、学生ボランティアとしてかかわった人だった。
当時から少しとっぽくて、まじめな学生が多い中では目立つ存在だった。
それが、今回の責任者としての大黒柱ぶりは見事だった。
感慨もさぞや、と慮ったが、本人は結構さっぱりしている感じだった。
難しい局面だらけの中で、積み残した課題も多いなりにやり切った感はあるのだろう。

前に告知もしたが、日本冒険遊び場づくり協会の支援も、新年度を迎え大きく変わった。
今まで走らせていたプレーカーを、一般社団法人プレーワーカーズに引き継いだのだ。
プレーワーカーズのHP
今後は、このプレーワーカーズがプレーカーを走らせる。

ところで、このプレーワーカーズの代表の須永力(通称ぶんちゃ)だが、
彼こそがプレーパークの現場での子どものつぶやきを聞きとがめ、
緊急のミーティングを招集した者だ。
そして、今回気仙沼に遊び場を開設した時のメンバーには、
この阪神淡路大震災の時に活動を共にした者たちが何人もいて力を発揮した。
みんな、阪神淡路大震災(1995年1月17日)から東日本大震災(2011年3月11日)までに16歳も年を取ったわけだが、
今でも思いを共有できる仲間たちなのだと、改めて感慨を深くした。


2月

2016年04月07日
歌おう ふるさと            2016年2月  天野秀昭

今月6日未明、台湾で地震が発生した。
マグニチュード6,4というから、日本人の感覚としては驚くほどの大きさではない。
けれど、いくつかの建物は倒壊し、生き埋めとなっている人が数10人いるという。
写真を見ると、大きなビルが途中からぽきっと折れたように倒れている。
当局は、手抜き工事や設計ミスなどを視野に入れて調査を始めたという。

日本では、5日、鹿児島県の桜島が爆発、噴火した。
1日たった6日では、甚大な被害を及ぼす感じはまだない。
けれど、どう展開するかはわからないと専門家はいう。

以前もここで書いたが、地震も噴火も、同じ地球のシステムの中で生じている。
プレートテクトニクスと呼ばれるそのシステムは、地球の中が大きく対流していることを指摘している。
地殻という卵の殻のような台地がその上を流され、地殻同士がぶつかるところでひずみが生じ、それが地震となり、
その摩擦熱でマグマが生まれ、火山が噴火する。
おかげで、地球史上、大陸は合体と分散を今までに5回も繰り返しているのだという。
つまりは、この世界は、今はたまたま5大陸などという姿をしているが、いつかはひとつになることを示している。
そう考えると、領土だ、国境だ、と言っていること自体がばかげた話に思えてくる。
地球は、そんな近視眼的な枠では動いていない。
おまけに言えば、地下深くのこの対流がダイナモの役割を果たし、地球磁場を生み、
だから太陽からの殺人的な太陽風から地球を守っている。
プレートテクトニクスが止まる、それは地球の死を意味し、生物は死に絶える。

地震も火山も、生物をこの地球上に生かすうえで欠かせない現象だ。
であれば、それを前提で手を打たなければならない。
手抜き工事は言うまでもないが、設計ミスもあってはならない。
これらは震災ではなく、人災だ。

来月、東日本大震災から丸5年を迎える。
津波に襲われた地域は、驚くべき変容を遂げている。
想像を超えたかさ上げ工事は、今後100年に何をその土地にもたらすのだろう。
それは、明るい未来を生む基盤となるのか、それとも、新たな人災の基盤となるのか。
地上と隔離されたかのような高台の上の住居や、暮らしに不向きな区画環境等、
もはや人がそこを居住地として選ばなくなる可能性すらある。
そうなったとしたら、これは人災だ。
壮大な、また莫大なお金をかけた実験。
歴史に例を見ないその実験を、これからこそ注視していかなくてはならないと改めて思う。