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4月

2017年04月10日
「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための
被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」というものがある。
「子ども・被災者支援法」と略称されたこの法律は、2012年6月21日に衆院において全会一致で可決された。
その法律では、原発事故による避難者、被災者に関しては、自主避難者を区別していない。
例えば、避難指示が解除されても帰らないと判断した場合でも、
帰った人と同等な支援が継続されることを目的としてできている。
それが、今回、政府は自主避難者への居住にかかる費用負担をしないとした。
家賃補助がない、そのことを復興相が「自己責任」だと言って、物議をかもしている。

行ってみればわかるが、福島ではどうも一戸建てが当たり前のようだ。
しかも、都会のように隣家と50㎝しか隙間がないというものではなく、十分な庭がある。
そこに住み続けることができていたら住んでいたであろう、一戸建ての家。
避難指示を受け、去らなければならなかった原因は、原発事故による。
当然、多くは職も失う。
第一次産業の従事者も多く、土地が汚染されていたら何もできない。
従来に比べ、極端に狭い住環境。
仮設住宅等の新しいコミュニティ。
新たな学校、職場。
しかも、いつ避難指示は解かれるかわからない。
地元に帰りたい気持ちがいくら強くても、新しい生活は否応なしに始まる。
そんな状況で、6年も暮らしてきたのだ。
いきなり仮設住宅の供与が打ち切られ、帰還するか、自分で家賃を払って借りるかを迫られる。
そんなことが、今起こっている。
しかも、復興相は「裁判でも何でも起こせばいい」とまで言い切った。
首相は、「謝罪しているのだから」いいでしょ、と言う。

天災である地震、それに続く津波、これらによる被害と、原発は一線を画している。
津波被害は想定されていた、と、地裁判決が裁定された。
内部文書にも、少なくとも被災より2年前には対策を講じる必要性が指摘されていたとある。
帰還しないことは自己責任なのか。
国民に自己責任を問う前に、国は自らの自己責任は何だと思っているのかを明らかにする必要がある。
自己責任は、他者に問うものではなく、自らに問うものだからだ。