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2月

2020年02月18日
今回も、またもや懺悔からとなってしまう。2か月半、これを書くことができなかった。
昨年12月11日、僕のパートナーのお母さんが永眠し、年が明けた1月11日にはプレーパーク40周年を記念したシンポジウムが行われ、今月は研修が相次ぎありその内容の吟味に時間をとられ・・・
というのは言い訳で、どこかで書こうと思えば、これほど間をあけることなく書けたとは思っている。
要は自分の中の「忘れない」という意志と、実際の気持ちとの間に少しギャップが現れてきているというのが正直なところなのだと思う。
そこをしっかり認めるところから、また始めたいと思う。

今月12~14日にかけて、長崎に行ってきた。
長崎市内の保育園長・主任の研修が主目的で行ったのだが、長崎に行くこと自体、長い間ずっと願っていたことだった。
原爆資料館、いつかは必ず行きたいと思っていたところだった。
それを伝えたら、資料館のすぐそばにある保育園の園長が案内してくれた。
・・・展示の詳細はここには書かない。
ただそれらと向き合って、心の底から感じたことがあった。
「こんなことしなくたって、災害でたくさんの人が亡くなっていくのに。それなのに、何で人が人をこんなに殺さなくてはならないんだ」
悔しくて情けなくて、そして腹が立って、涙が出た。

長崎の原爆は、世界一の毒性を持つともいわれるプルトニウムがその原料だ。
広島の原爆はウランなので、明らかな実戦配備のための原爆実験だったといえる。
その火球の中心温度は数百万度、地上は瞬間的に3000~4000度に達し焼き尽くされたとされている。
太陽の表面温度は約6000度といわれており、鉄の溶解温度は1500~1600度だ。
遮るものが何もなければ、爆心から1,2キロ以内の人は100%即死だという。
その破壊力は想像を絶する。

第2次世界大戦で世界は原爆の巨大な力に触れ、大国といわれる国は、原爆の開発競争に手を染めた。
原爆による力の抑止、それがあるから下手に敵国に手を出せない。
平和を守る上で現実的な戦略である、それが大国といわれる国の言い分だ。
ならば世界各国が、自国の独立を守るためにそれを持ってもよさそうなものだ。
けれど、現実には大国と呼ばれる国のみが圧倒的に保有し、大半の国はそれを保有していない。
抑止の理論が、大国の理論であることがわかる。

東日本大震災では、福島の原発がいとも簡単にメルトダウンを起こした。
その後原発ゼロを目指すかと思いきや、その推進をさらに進め、それどころか輸出の目玉にすらしている。
原発稼働の結果たまるプルトニウムの日本の保有量は、2018年現在で47000キロほどといわれている。
それを長崎型原爆に転用できるとかできないとかの議論もあるが、問題はその保管場所が通常ミサイルで狙われたら、まさに原爆の被ばくと変わらない状況が生まれるということだとぼくは思っている。

自然災害は、避けようがないところがほとんどだ。
なのだから、人為的な大量殺りくは本当にばかげていると、長崎で改めて痛いように思った。


11月

2019年11月11日
「13日で、台風19号から1か月になる。」
ネット上の記事でその一文を目にしたとき、一瞬不思議な気持ちに襲われた。
「え、もう一か月?」という思いと「え、まだ一か月?」という思いが、ほぼ同時に起きたからだ。

19号のみならず、その後にも続いた集中豪雨。
日本海沿岸部を襲った数知れない氾濫、洪水。
2011年の津波被災を受け、ようやく復興の緒に就いた自治体にもいくつも被害が出た。
千葉はやはり15号で被災したところも含め、さらに多くの被災地域を生んでしまった。
僕が住むここ、世田谷でも、多摩川の氾濫による浸水被害が出た。
隣接自治体である狛江市や川崎市でも、浸水地域が出た。

福島は、除染が終わり、ようやく戻ってこられたと思ったらこれだ。
除染したのは人が住む周辺だけで、大部分を占める山や林の中は除染を行っていない。
大雨で、その汚染土が除染した住宅地に流れ込んだ。
原発から汚染水が流出したという報道もあった。
福島では農協や漁協が線量を測って安全を確認してから出荷しており、
出回る商品の品質に問題はなかろうが、
これを機にまた風評被害が出るなどということだけはあってほしくない。

都市文明が自然の前では全くもろいことをまざまざと見せつけたのが、タワーマンションの被災だった。
電源設備の心臓部が地下にあり、それが浸水して壊滅してしまった。
タワーマンションは、電気がないとその機能はほぼ停止してしまう。
電気機器が使えないのはもちろん、水を屋上にポンプでくみ上げてその水圧で各階に流しているため、
組み上げられなければ完全にアウトとなる。
水が流れないということは、トイレもアウトだ。
エレベーターもアウトである以上、最上階に住む人は階段で水運びをしないといけないことになる。
中には40階を超える高層マンションもある中で、だ。
家の中には全く被害がなくても、ライフラインがアウトならば、
ある高さ以上に住む人は実質的にそこには住んでいられないだろう。

こうした事態に、一部の人たちは「いい気味」だとばかりにネットに書きつけたりもしたと聞く。
タワーマンションに住む人たちに対するやっかみが、背景にあるのだろう。
人の不幸をあざ笑うような仕打ちには腹が立つし情けなくもなるが、
それを書いた人たちの個人的な趣味や性格の悪さとばかり言っていられないとぼくは感じている。
広がる経済格差、それを個人の責任とするような社会的風潮、
これは政治の問題だと真正面から問うのは一部のジャーナリストやマスコミで、
多くは「勝ち組」「負け組」という言葉を使いそれをあおっている。
実際、タワーマンションに住む人の中には、俺たちは勝ち組だと思っている人もいるのかもしれない。
そんな人が困ったときに、それこそ高いところまで水や買い物を運ぶのを手伝いましょうかと伝えたら、
勝ち負けだけでは人の価値は測れないことを実感してもらえるのでは、とも思う。

さまざまな被災地に入ってきたから感じていることがある。
日頃隠されている問題は、被災すると噴出する、ということだ。
今回の被災した状況から、学ぶことは数えきれないほどある。

10月

2019年10月10日
この原稿とにらめっこを始めている今日は、10月10日。
とても心配で不安な気持ちで書き始めている。

なんと、明後日には猛烈な台風19号が東海から関東にかけて襲来するという予報が出ている。
最も西のルートを通れば近畿地方も暴風域となるらしい。
台風は、その中心の東側が風雨が強いということなので、このコースが列島全体に最も危険かもしれない。
逆に最も東寄りのコースをとれば、本州には上陸せずその沿岸を北上する感じだ。
それでも、間違いなく関東地方は暴風域に入る。
現状での勢力は915hPa。
中心付近の最大風速55メートル。
最大瞬間風速75メートル。
ほとんどきいたことがない。

千葉の、ことに県南に住んでいる方々は、前回の台風15号で大きな被害を受けた。
今回の19号はそれとほぼ似たコースをたどり、しかもそれより強烈なスケールでやってくる。
住まわれている方々の気持ちを考えると、僕も心のざわつきが抑えられない。
逆に言えば、僕の心がこれだけざわつくということは、当事者である方々のそれは本当にはかり知ることができない、ということだ。

千葉での被災は、最初信じられないほど報道されなかった。
停電、という一方は報道されたが、あれだけ大規模に電柱が倒れ、倒木が道をふさぎ、家屋がひどい有様になっていることは、結構後になってからの報道だった。
あれは、どうしてなのだろうか。
明らかになってきたことは、県の動きの遅さだった。
一般に被災した自治体は、被災者である市町村の住民の対応に大わらわとなる。
ましてや今回は電力が断たれ、通信が全くままならなくなった。
足による現地の実態調査と伝令、それしかなかったというのが直後の実態だろう。
それを、県は自治体からの連絡を待っていたというのだから驚いてしまう。
その県の危機感のなさが、おそらく報道機関に緊急性を感じさせなかったのでは?と思ってしまう。
もちろんマスコミは独立した報道機関なので、そんな危機感のない県を、危機感を持って叱咤するくらいでなければこれも困るが。

今回は、正直、何を書いていても時間だけが過ぎどこか上の空だ。
19号がどんな被害を爪痕として残すのか、全く予想できないからだと思う。
被災した人たちに厳しい追い打ちをかけることは確かで、それがつらい。
神を信じているわけではないが、ただただ、祈るばかりだ。

9月

2019年09月13日
いつも楽しみで録画しているEテレのサイエンスゼロ。
9月1日に放送された特集では「活断層」を取り上げていた。

阪神淡路大震災(1995)、新潟中越地震(2003)、熊本地震(2016年)、北海道胆振東部地震(2018)
…直近で起きた活断層地震はこれらなのだという。
この日の番組は、これらのうち熊本地震の後に行われてきた調査をもとに、
活断層について分かった新たな知見を中心に構成されていた。

その詳細をここに記すつもりはないが、印象的だったのは、
活断層があれば、その周辺の建物は全体的に危険である、ということではないことだった。
大きな被害を広範囲に起こすとき、震源は活断層内でも往々にして深いそうだ。
その震源を中心にして円を描くように揺れが広がっていくため、表土が広い範囲で揺れる。
この場合は、同じ断層でも表土に近い断層は特に影響なく、
なので断層上に立っている建物だからと言ってことさら被害が大きいわけではないらしく、
従来こっちの地震が一般的だったようだ。

しかし、熊本のように断層面が地面にはっきり現れるいわゆる地割れが生じる場合は、そうではないらしい。
一度深い震源でずれ、そのずれがさらに浅い部分の断層自体を暴発的にずらす場合、
その時に限って地割れが生じるのだという。そして、そういった地震はむしろまれらしい。
だから、地震に地割れはつきものかと思っていた僕は少し驚いた。
そして、今回震度7を記録し、建物に大きな被害が出たところは、
この地割れの場所とはっきりとした相関関係があったとのことで、
むしろ専門家にすればこれが新たな発見だったらしい。
今回熊本地震で動いた断層は、連続してつながっている1本の断層の真ん中から北側にある
「布田川(ふたがわ)断層」で、その南側の「日奈久(ひなぐ)断層」は全く動いていないのだという。
つまり、今回の地震でその南側の断層はさらにひずみをためているはずだということで、
明日地震が起きても不思議ではないらしい。

日本には、発見されているだけで2000を超える断層があるという。
政府が力を入れて調査している断層はそのうち100程度らしいが、
それも都市化が進みビル等が建ち、調査自体がままならない状況だと学者は話していた。
司会の小島瑠璃子が「断層がどこにあるかも、それがどう動くもわからない状況で、
何をどう注意したらいいのか…」と水を向けると、
学者も困惑気味で「家具を動かないように止めるとか…当たり前の話なのですが」と言いつつ
「火事を起こさないようガスを止める」とも話していたことにまた少し驚き。。。
(今はガスは自動切断されるから。
そんなことしているより建物のひずみに閉じ込められないよう避難路を確保しろ)
などと、思わず心の中で突っ込みを入れていた。
いつも明るい司会のこじるりが、心なしか番組終了時に不安そうな表情だったことがとても印象に残っている。

8月

2019年08月18日
毎月11日には挙げていたこの原稿を、今月は逃してしまった。
その間に、この3日で超大型ともいわれた台風10号が四国から中国地方にかけて縦断した。
上陸直前に超大型から大型になったとはいえ、一時は半径800㎞を超えたのだから驚く。
直径にすれは1600㎞以上。
東日本の大津波が沿岸500㎞と言われていたが、その3倍以上のサイズだ。
大きさもそうだが、雨の強さも強く警戒された。
多いところで1200ミリとも予報されたその雨による被害は、
結果的には今のところ停電以上のものは報告されていないようだ。
これは本当に良かった。
ただ、今後は北海道に向かっていくようなので、あと1日ほどは気を抜けない。

もう一つ、今月7日の夜に突然噴火した浅間山。
多くの死者を出した2014年の御嶽山の噴火以降、火山への監視体制は強化されていたが、
今回は全くその予兆をとらえられなかったようだ。
そこで、にわかに懸念されているのが、富士山だ。
東海・南海トラフ地震、関東直下型地震、いつ起きても不思議がないといわれている
これらの地震とともに、富士山の噴火もまたそういわれている。
ことに、有史以来の富士山の噴火には大きな地震との関係が見て取れる。
東日本大震災がその引き金になることは、まだ十分可能性があるのだという。
それもあり監視体制がしっかりとられてはいるようだが、
浅間山のように予兆がつかめないままの噴火が来ないとも限らない。
ことに登山シーズン中の場合、登山者を何百何千人と巻き込む恐れがある。
実際、富士山直近の箱根山が噴火し、大涌谷の封鎖は、まだ解除されていない。

もし、富士山が本当に噴火したら、いったいどうなるのだろう。
もちろん噴火の規模で全く違うかもしれないが、
その被害はいずれにしても甚大なものになると予想される。
噴石や火砕流、冬場であれば雪を融かした泥流、火山ガス…
これらのものはおよそ半径10㎞以内に被害を与えるが、火山灰はそんなレベルではない。
風に乗れば何百何千、時には何万㎞だって飛んでいく。
これが目に入れば角膜に傷がつき、肺に入れば呼吸器がやられる。
飛行機の吸気口に入れば下手をすればエンジン停止だし、電子機器がその静電気でこれを呼び寄せれば、コンピュータなど誤作動だらけであっという間に使えなくなる。

これは、別に富士山だけに限ったことではない。
日本は、火山列島そのものだということを改めて意識しなくてはと思う。

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