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6月

先日、福島県に呼ばれて、話をしてきた。
何とか子どもを外で遊ばせたい、
県がそう考えて、冒険遊び場を作ろうとする団体に助成金を出すのだという。

あの震災での原発の爆発事件以来、福島県の人あはさまざまな運命に翻弄され続けている。
おそらくは想像に絶するであろう体験を、きっと多くの人が負わされてきた。
そのひとつが、子どもを外で遊ばせてはいけない、ということだ。
「外は危険である」
そう言い聞かせて、子どもを屋内で育てざるを得なかった多くの親にとっても、
苦しみのときの積み重ねだったろうと思う。
どのくらいの線量が人体に危害を及ぼすのか。
専門家でさえ、ひとりとして同じ答えを持たないこの問に、
住民は自分で情報を集め、自衛と決断を余儀なくされてきた。
誤解を恐れず本質論だけ言えば、
外遊びを禁じなくてはいけないと思うところで子どもを育てるべきではない、
ぼくはそう思っている。
外遊びを禁じられた子どもがどうなってしまうのか、
その育ちへの影響は、大人の想像をきっと大きく超えるものと考えられるからだ。
しかし、大家族もまだ多い東北。
仕事や代々続く家のことなど、事はそう簡単ではないということも容易に想像できる。

子どもの健康が、危うい。
そこで暮らすことを決めたのであれば線量の低いところなら外遊びを、という県の決断に、
ぼくはまず素直に拍手を送りたい。
福島県は広い。
そして、汚染は距離よりも風向きに影響されている。
事故現場から30キロにかかる南相馬の人たちは、自分たちで線量の低いところを探し、
そして昨年の夏から屋外遊び場を手がけ始めている。
家に帰ることが困難な地域がある一方で、東京と線量がほぼ変わらない地域も多い。
「福島県」では括れないのだ。
外で遊べる環境づくりに着手する人がいても、いや、いること自体に不思議はない。
福島だから外遊びは無理、そういうこと自体の方が2時災害を生むというものだ。
福島県には、できる協力はなんでもすると伝えた。
けれど、そうは思ってもやはり実際は複雑な思いをぼくは抱く。
外遊びへの協力が、本当に子どもの健康を守るのだろうか。

この疑問を忘れないように、ぼくは福島県の取り組みを応援しようと思っている。



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